音声認識の認識率が向上、オコシストに必要な真のスキルとは？

■◆■━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.32─2023.10.15━
　　　　文字起こし技能テスト　 メールマガジン

　　　　　〜　オコシストの翼・ヒラク　〜　
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第17回の申込が締め切られました。
受験される方は、あとはもうやるしかない！ですね！

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: １ :　文字起こしてんやわんや
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◆人事評価が絡めば人は必死になる
私はかつて、データ入力の会社でパートしていました。Windows 95が出たばかり、まだパソコンは職場に１人１台は配布されておらず、せいぜい部署に１台という時代の話です。

当時、私のパート先は、ある専門学校からテストの問題用紙作成を受注していました。
段組みがあり、図表挿入があり、解答欄を他と合わせて四角で配置したりと、テスト問題をきれいにレイアウトして入力するのはなかなか複雑な作業で、会社にとっても貴重な収入源だったようです。
この仕事が途中から極端に減り、営業職が先方へ状況を聞きに行きました。

パソコンの本格的な普及前とはいえ、先生稼業の人はたいてい自宅にワープロ専用機を持っていました。
それを使って、自力でテスト用紙を上手に作成できる先生方が現れ、しかもその人数が増えていったのです。
その専門学校にとっては、外注費がかからなくなった先生と、いつまでも外注費がかかる先生という区別ができたことになります。

外注費がかかる先生方の人事評価は下げられました。
あっという間に発注は皆無になり、私の勤務先は顧客を１校失いました。

◆認識されやすい話し方をみんなが目指す時代？
人事評価が絡めば人は必死になる。
これを音声認識に応用すると、次のような感じになりそうです。

DX（デジタルトランスフォーメーション）のかけ声に乗って、ある会社に自動音声認識システムが導入されます。
ところが、社内会議で使ってみると、発言がうまく文字化される社員と手直しに相当な手間のかかる社員がいます。
手直しに社内で誰かが手を取られ、社内でムリなほど手直しが必要であれば文字起こしの会社に修正作業が発注されます。

当初「人間が話し方を変えるなんてナンセンスだ」と主張していた社員も、それで自分の評価が下がるとなれば目の色が変わります。

話すときは「あのー」「えーと」や、言い間違い、言い直しををできるだけ減らすこと、質疑部分はともかくプレゼン部分は事前にしゃべる練習をしておくこと。用語を事前に単語登録しておくこと。
そんな対策をみんな必死に行うでしょう。

くだけた表現よりは「です・ます」のほうが認識されやすいかもしれませんし、助詞を入れてしゃべるほうが言葉の句切りが分かりやすく、認識されやすいかもしれません。
オコシストが身につけるような知識を、話す側も身につけることになるかもしれません。
話す内容が正しければそれでよいのではなく、認識されやすい話し方をみんなが目指す時代が来るかもしれないのです。

昭和の時代には「アーウー宰相」とあだ名された首相がいました。
「あーーーーーー」と長く引っ張り、それに使った息の分を吸い込む「…………………」があって、ようやく次の言葉が出てくるようなまどろっこしい話し方でした。
今の人は「あー」とか「うー」とか言っても次の言葉もすぐ出てきますから、話し方は全体に進歩しています。

その進歩の上に人事評価に追い立てられる必死さが乗れば、みんながもっとうまく音声認識を使える時代が近づくかもしれません。

それにしても、前回取り上げたデータ入力や、今回ご紹介したテスト問題をきれいにレイアウトして入力するような案件は、今とても少なくなっています。
それに対して文字起こしは、音声認識のせいで絶滅すると毎年のように言われながら、案外問題なく生き延びています。

音声認識の認識率アップ用のいわゆる「教師データ」を作る仕事は以前からありますし、音声認識結果を直すような案件も増えていくでしょう。
（私自身、自分が文字起こしする案件は自動認識またはリスピークして、それを直して仕上げています）
動画の普及に伴う字幕の仕事など、文字起こしはさまざまに分化していくと思いますが、正しい聞き取り、ほどよいケバ取りや整文のセンス、適切な表記、そういった知識は今後も必要なスキルだと断言できます。

最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、また次号でお会いしましょう！

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