オコシストの翼

時代が移れば表記も変わる

■◆■━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.34─2023.12.15━
    文字起こし技能テスト  メールマガジン

     〜 オコシストの翼・ヒラク 〜
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忘年会、クリスマス、大掃除、商店街の福引。
師走という雰囲気になってきましたね!

★内容

1:廿里美の文字起こしてんやわんや
2:【ご案内】スペシャリストのつどい
3:文字起こし技能テスト情報

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: 1 : 文字起こしてんやわんや
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表記のことを書いてほしいというリクエストをいただくことがあります。
要注意の表記はたくさんあって取り上げることは難しいため、公式テキストの「表記をもっと知る」という章をご覧くださいというのが一応の回答ですが……。
そもそも誰が正しい表記というものを決めるのでしょうか。

◆正しい表記は国が決める
それは基本的に国というか、具体的には文部科学省あるいはその下部組織です。「常用漢字表」「送り仮名の付け方」「外来語の表記」などが発表されます。
ところがこれは不変の表記ではなく、何年かたつと少し変更され、新聞表記や速記表記も少し変わります。

つまり、固定の正しい表記は存在しないのです。
明らかな誤表記というものはあります。例えば上のセンテンスを「湖底の但しい標旗など存在しないのです」と表記するのは、全くの間違いです。

では「ヤバい」「やばい」は、どちらが正しい表記でどちらが誤表記でしょうか。

◆速記表記は俗語に強い?
私の高校時代の国語教師は「やばいはヤクザが使う言葉だから、学生は使ってはいけない」と、授業で説教しました。
それは古めかし過ぎると私たちは感じていました。つまり俗語ではあっても隠語ではないというのが、当時の高校生の解釈だったのです。

文字起こし技能テストが新聞表記のテキストとしてご紹介している、共同通信社『記者ハンドブック』(記者ハン)は、本来は記者が記事を書くために使う書き言葉(文章語)用の本です。
そのため俗語は掲載が少なく、「やばい」は最近まで載っていませんでした。

今や時代は変わり、「やばい」は褒め言葉としても使われたりするようになりました。記者ハンも、2022年発売の版から「やばい」が平仮名表記で掲載されました。

速記表記のテキストである日本速記協会『標準用字用例辞典』(用字例)は、2012年の版から「やばい」が掲載されています。こちらも平仮名表記です。
用字例は話し言葉を表記するためのテキストですから、さすがに記者ハンより10年早いですね。

◆「凄い」は表外読み、そして整文時は書き換え推奨?
まだ「すごい」が解決していないのに今度は「やばい」か……と、表記とは関係ありませんが心配になってしまいます。

「すごい」も本来は褒め言葉ではありません。
「凄(すご)し」は、古文ではもの寂しいとか不気味といった意味です。「すごくおいしい」「この業績はすごい」などという良い意味での使い方はされなかったのです。

そういう経緯があるので今でも「すごい・すごく」は、話し言葉としてはともかく、書き言葉としては不適切という考え方があります。
文字起こしの整文でも、「非常に」「とても」などに書き換えるべきだとされることがあります。

私自身はかなり格調高い会議などでない限り、文字起こし原稿で「すごく→非常に」とは書き換えません。「すごい・すごく」も発言の記録であり、書き言葉に置き換える必要があれば、文字起こし原稿の納品後にライターが別途行えばいいと思うからです。
ただし「すごいおいしい」は、口調を生かすくだけたインタビューなど以外では、「すごくおいしい」と活用形を直しています。

ちなみに文字起こし技能テストでは「凄い・凄く」は不正解となります。常用漢字表で「凄」の読みは「セイ」のみで、記者ハンも用字例も平仮名表記が指定されているためです。

言葉の使い方や表記は、時代とともに変わります。表記も、原則やよく使う言葉の表記を覚えたら、あとは「記者ハンに、やばいが載ってる! ヤッバー!(←褒め言葉)」と、楽しく付き合っていきたいものです。

◆廿 里美
・著書:国語好きを生かして在宅ワーク・副業を始める 文字起こし&テープ起こし即戦力ドリル
・X(旧Twitter):https://twitter.com/okosozukin
・フラウネッツ 文字起こしオンライン講座 講師 https://www.fraunetz.com/seminar/50/
・フラウネッツ リスピーク入門オンライン講座 講師 https://www.fraunetz.com/seminar/1448/

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: 2 :  【ご案内】スペシャリストのつどい
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久々のイベント開催です。
今年の文字起こし技能テストでスペシャリストを取得された方、楽しく語り合いませんか。

といっても、まだ第17回の結果がお手元に届いていないと思いますが。
実は、第17回で901点以上取得された方は全体の13%もいらっしゃいます!
「参加条件に当てはまるかも??」
結果の到着をお待ちください。

対象者:第16回または第17回でスペシャリストを取得された方
日時:2024年1月17日(水)20時〜21時30分
開催方法:Zoom リモートにて開催
参加費:無料
応募については、専用メールマガジンにてご案内いたします。

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: 3 : 文字起こし技能テスト情報
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第18回のお申込みは来年1月からです。スタートするときまたご案内しますね。

第18回「文字起こし技能テスト」
日 程:2024年5月19日(日)
申込期間:2024年1月10日(水)〜4月11日(木)

第19回「文字起こし技能テスト」
日 程:2024年11月17日(日)
申込期間:2024年7月1日(月)〜10月11日(金)

https://mojiokoshi.org/%E9%96%8B%E5%82%AC%E6%97%A5%E7%A8%8B/
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『文字起こし技能テスト(R) 公式テキスト 改訂版』 ISBN:978-4-9904934-7-9
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▼『文字起こし技能テスト(R) 公式テキスト』の音声版
 サピエ図書館に収録されています https://sapie.or.jp/

最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、また次号でお会いしましょう!

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